安田記念

第52回 安田記念

運に見放された馬がいた。
かつて2歳チャンピオンとなった芦毛の若駒は、その直後2度の骨折に襲われた。
1年7カ月もの間休養を余儀なくされた彼が、思い焦がれたターフの上。
そこには、運を掴めない騎手がいた。
デビュー以来着実に勝利を重ね、2000年に年間100勝を達成した名ジョッキーは、そのキャリア中53度も騎乗機会のあったG1の舞台で、未だ勝てずにいたのだ。

そんな1頭と1人、アドマイヤコジーンと後藤浩輝が出会ったのは2002年の1月。
以来、重賞2連覇を挙げるなど活躍を見せた名コンビがついにG1を制し、栄光をつかみ取った記念すべきレースが『第52回 安田記念』である。

この年のマイル戦線は群雄割拠の様相を呈していた。
90年代最後にして最強のマイラーとの呼び声高いタイキシャトルや、前年の安田記念覇者ブラックホークが既に引退しており、確固たる主役の存在しない状態であった。

この日、空位となった玉座を狙うのは、香港のG1を二度制したエイシンプレストンに、前年の皐月賞と日本ダービーで2着となったダンツフレーム
他にも、昨秋のマイルチャンピオンシップ覇者のゼンノエルシドや、前走でマイラーズカップを制したミレニアムバイオが名を連ねた。
これら4頭がそれぞれ単勝オッズ10倍を切る拮抗した人気のなか、後藤浩輝騎乗のアドマイヤコジーン単勝15.8倍の7番人気
彼らにも前走の高松宮記念で2着という十分な実績があったが、ファンは脚にボルトの入った馬と、G1に縁のない騎手のコンビに対して、あくまでシビアな評価を下した。

そして発走時刻。
ゲートが開いても大きく飛び出す者はおらず、各馬のペースが拮抗した状態。
内からマグナーテン、外からアドマイヤコジーンが先行する中、ゴッドオブチャンスがハナを奪いレースを引っ張って行った。

人気どころのレース運びは、まずゼンノエルシドミレニアムバイオが5番手。
ダンツフレームが中団の外、1番人気エイシンプレストンは中団やや後方の15番手という展開だった。
半マイル通過タイムは45秒9とかなりのハイペースだったが大きく離される馬はおらず、頭から最後尾まではおよそ10馬身程度となった。

先頭を走り続けたゴッドオブチャンスが府中の長い直線を向いたころ、各馬が一斉に追い出しにかかった。
息つく暇を与えない東京の急坂を誰よりも早く登りきったのは、ひときわ目立つ芦毛の馬体
アドマイヤコジーンと後藤浩輝である。

残り200m、すぐ後方では差し切りを狙うダンツフレームが猛然と追い上げる。
これを凌ぎきれば、アドマイヤコジーンにとっては3年半ぶり、後藤浩輝にとっては生涯初のG1制覇である。
しかしレーストップの上がりを見せるダンツフレームとの差が、2馬身、1馬身、半馬身と詰まっていく。
2番手ダンツフレームがクビ差まで迫ったその時、アドマイヤコジーンの鼻先がゴールラインを超えた。

アドマイヤコジーンの完全復活と、後藤の悲願が果たされたのだ。

スタンド中が純粋に彼らの偉業を喜び、2着ダンツフレームの鞍上、池添騎手までもが後藤を称えた。
人馬共に、苦労の絶えなかった競争生活。
1頭と1人の想いが報われた瞬間だった。

ウイニングランのさなか、感極まった後藤は人目もはばからず涙を流した。
アドマイヤコジーンはその鞍の下、手術痕の残る後脚で一歩ずつ相棒を運び続けた。

第52回安田記念
1着:アドマイヤコジーン(後藤浩輝)
2着:ダンツフレーム(池添謙一)
3着:ミレニアムバイオ(柴田善臣)

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