天皇賞春

第129回 天皇賞(春)

日本のみならず世界中の有力馬が一堂に会するG1レース。
そのような場においては、1着の馬が他馬に大差をつけるような展開はどうしても起きにくいものだ。
しかし、天皇賞(春)の長い歴史の中には、2着以降に7馬身という大差をつけて勝利した馬がいる。
春の天皇賞を完勝した馬といえば、思い起こされるのはメジロマックイーンやスペシャルウィーク、近年ではディープインパクトあたりだろう。
だがこの過去最大着差での勝利を果たしたのは、出走当時全くのノーマークだった『イングランディーレ』
その波乱のレースが行われたのは2004年のことであった。

イングランディーレの父は、当時産駒が日本で活躍し始めていたホワイトマズル。
母の父はこれまで数多くのステイヤーを輩出してきたリアルシャダイ。
長距離に適性がある血統や、また本人の過去の長距離実績などを鑑みれば、3200mで行われる本走で有力視されていてもおかしくなかった馬である。

しかし、2004年の天皇賞(春)には他にも極めて充実したメンバーが揃っていたのだ。

その筆頭は前年に皐月賞・日本ダービーを制し、前哨戦の大阪杯にも勝利したネオユニヴァース
他にも、前年の菊花賞と有馬記念で2着につけ、3000mの阪神大賞典を制したリンカーンや、そのリンカーンを淀の3000mで破ったザッツザプレンティ
更には、昨年秋から勝ちきれてはいないものの、ダービー2着、有馬記念3着、日経賞2着と着実に結果を残してきたゼンノロブロイ
『4歳4強』と称されたこれらの馬が圧倒的な注目を集めていた。

当日の人気は1番から順にリンカーン、ネオユニヴァース、ザッツザプレンティ、ゼンノロブロイ
イングランディーレはそれら有力馬とは比較にならない10番人気という評価だった。

 

「このレースはどう展開し、その中で勝つにはどうすべきか?」
ゲートインした騎手たちは4歳4強を中心に各々の戦略を組み立てたが、それこそがイングランディーレと、鞍上の横山典弘騎手への追い風となった。
ノーマークの馬にしかできない大立ち回りが始まろうとしていた。

スタート後、横山は手綱をしごきながらイングランディーレを前に行かせた。
他馬からすれば、明らかにハイペースでの展開を予測させる動きだった。

前半の1000mまでは12秒台の平均的なラップを刻み続けたイングランディーレ
しかし後続の馬たちは先頭には目もくれず、お互いをけん制しあっていた。
勝ち目のないイングランディーレにつられて闇雲にペースを上げれば、自分も一緒に潰れてほかの4強に差されることになる。
そう考えればどうしても慎重にならざるを得なかった。

そうして追走を免れたイングランディーレだったが、1コーナーを回ってから徐々にペースを落とし始めていた。
特にレースが折り返しを迎える8ハロン目では13秒5という極端なスローペース
2番手以降の馬たちは四強を恐れ続け、未だはるか後方にいた。
横山はイングランディーレにしっかり息を入れさせながら、ハイペースを期待する後続馬たちをスローな競馬に巻き込むことに成功したのだ。
かつて横山騎手は、名馬セイウンスカイに騎乗して菊花賞で大逃げを達成している。
この日の彼はどこか当時のレースを思い起こさせる騎乗ぶりであった。

第3コーナー手前ではすでに2番手と20馬身以上の差をつけたイングランディーレ
後続のにらみ合いは尚も続いていた。
誰かがリスクを負って先頭を捕まえねばならない、しかし、誰が?
ジレンマに陥った他馬をよそに、イングランディーレは残り800m、十分に休まった脚で徐々にペースを上げ始めた。

痺れを切らしたゼンノロブロイシルクフェイマスらがようやく仕掛け始めるが、その時には既に大勢が決していた。
イングランディーレが直線を向いたとき、未だ後続にとっては絶望的なまでの差が開いており、その差は最後まで詰まることはなかった。

こうしてイングランディーレは、淀の3200mでただの一度も先頭を譲らず、レース史上最大の着差で勝利した記念すべきG1馬となったのである。

その後スタンドでは投げ捨てられた外れ馬券が大量に宙を舞い、レース後の口取り撮影はどこかぎこちない様子で行われた。
大荒れの余韻にざわめきの収まらない場内だったが、その中でも波乱の立役者、横山典弘は終始満面の笑みであった。

第129回天皇賞(春)
1着:イングランディーレ(横山典弘)
2着:ゼンノロブロイ(オリヴァー)
3着:シルクフェイマス(四位洋文)

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