朝日杯3歳ステークス

朝日杯 3歳ステークス

かつて「スーパーカー」と呼ばれた馬がいた。
外国車ブーム華やかなりし1970年代に持込馬としてデビューし、2歳馬(当時の表記で3歳馬)最強を決める朝日杯3歳ステークスをレコードで勝利した「マルゼンスキー」である。
翌年の引退まで連戦連勝を重ねた彼はその後、日本歴代最強の一角に挙げられるまでの名馬として、その名を称えられた。

時は流れて1997年。
デビュー以来、圧倒的大差での勝利を重ね続け「マルゼンスキーの再来」と言われたある馬が、満を持して朝日杯3歳ステークスに参戦することとなった。

1997年12月7日。
この日中山競馬場で注目を一手に集めたのが、外国産馬のグラスワンダーである。
彼はデビューからの3走でそれぞれ2着に3馬身、5馬身、6馬身の差をつけて圧勝。
その間、主戦騎手の的場均は一度も鞭を使わないどころか、まともに追うことさえほとんど無かった。

いったいこの馬は、どれだけのポテンシャルを秘めているのか。
グラスワンダーは否応なくファンからの期待を集め、レース当日は単勝オッズ1.3倍という圧倒的な一番人気に支持された。

レースが始まると、まずハナを切ったのはマウントアラタ
2番手にシンボリウォード、内側3番手にはこの日3番人気のアグネスワールドがおり、その後に2番人気のフィガロ。
グラスワンダーは中段の外目で、内を狙いに行くこともなく悠々と構えていた。

逃げたマウントアラタ半マイル通過タイムは45秒4。
2番手以降に3馬身ほどの差をつけた、超が付くほどのハイペースである。
その頃、やや後方7番手では、的場が愛馬をごく軽く促した。
グラスワンダーはこれまで通りの機敏な反応で進出を開始した。

第4コーナーでは大外を回りながら、早くも先行集団に並びかけて直線を向いたグラスワンダー
このとき先頭を走っていたマイネルラヴを視界に捉え、G1制覇への正念場を迎えた名馬に、ここで初めて鞭が入った。

そこからは一瞬の出来事であった。
グラスワンダーは急坂をものともせずに伸びあがり、マイネルラヴをあっという間に抜き去った。
坂を登りきるとそのままぐんぐんと差を広げ、気付けば2着に2馬身半もの差をつけてゴールを通過していたのだ。

この日の勝ち時計は1:33.6と、当時のレコードを0秒4更新する新記録。
公式発表よりも柔らかく、重かったとされる当時の馬場状態を鑑みれば、まさに驚異的なタイムである。

マルゼンスキーと同じように、無敗で朝日杯3歳ステークスを勝ち獲ったグラスワンダー
彼はその後、2歳馬としては異例の年度代表馬に選ばれ、また国際レーティングについてもJRAの2歳馬として歴代最高の116ポンドが与えられた。

奇しくもそれは、マルゼンスキーがこの世を去ったのと同年の出来事であった。

第49回朝日杯3歳ステークス
1着:グラスワンダー(的場均)
2着:マイネルラヴ(蛯名正義)
3着:フィガロ(福永祐一)

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